ジョナサン・ニューマンは、バージニア州ウィリアムズバーグにあるバージニア・ビア・カンパニー(カーディナルトレーディングが日本に輸入)の醸造責任者である。彼は、2011年からいくつかの醸造所で醸造家として働き、2013年にはアメリカン・ブルワーズ・ギルドの醸造科学・技術集中プログラムを修了している。
今から20年前、私は大学2年生の夏にイギリスのオックスフォードで数か月間「勉強」していた。その時点で私はすでに安いビールをたくさん飲んでいたし、シエラネバダのペールエールの6パックもそれなりに飲んでいた。しかし、オックスフォードに来てビール文化とパブを発見した時に、まさに目から鱗が落ちた。ビールがこれほど滑らかで、風味豊かで、最高に飲みやすいとは誰が想像できただろうか? オックスフォードのセント・ジョーンズ・カレッジから数百メートル以内に、ラム&フラッグとイーグル&チャイルドという2軒のパブがあった。たいていの午後や夕方は、私と仲間たちは勉強をそっちのけで、パブでさまざまなカスクエールを飲むという日々を過ごしていた。ビターやマイルドといったすべての伝統的なカスクエールを私はすぐに気に入ったが、その中で特に際立っていたのが、エクストラ・スペシャルビター(略称:ESB)であった。今までいろいろ飲んだり醸造したりしてきたが、今日に至るまでに出会った中で、これが私が最も惚れたスタイルである。
エクストラ・スペシャルビターは、ビターという英国ビールの中で最も強いビールである。イギリスのパブでよく見かけるオーディナリービターやベストビターよりも、エクストラ・スペシャルビターはモルトやホップをより多く使い、風味もより際立っている。

しかし、エクストラ・スペシャルビターを現代のアメリカン・ペールエールやIPAに近いものと考えてはいけない。このビールは滑らかで、完璧にバランスが取れており、通常アルコール度数は6%以下である。ホッピーであるべきだが、強烈すぎず、イースト・ケント・ゴールディング(略称:EKG)やファッグルといった伝統的な英国品種のホップを使う必要がある。通常、硫酸塩含有量の高い水は、ホップの風味を際立たせ、ミネラル感とドライさを加えることでホップの特徴をよりよく表現する。ホップの特徴と、カラメルやトーストしたパンのような麦芽のコクの間には、常に絶妙なバランスがなければならない。醸造の観点から見たこのスタイルの決定的な要素は、伝統的な英国のエール酵母から生まれる典型的なフルーティーなエステル香で、モルトと洗練されたホップの特性の絶妙なバランスに面白みと複雑さを加えている。
エクストラ・スペシャルビターは、1970年代初頭にフラーズ・ブルワリーによってスタイルとして生み出された。その時点で英国では何世紀にもわたって、ビター、ベストビター、スペシャルビターは豊富に存在していたが、彼らのESBはそれまでの既成概念の枠を超えるものだった。より多くのモルトとホップを加え、そしてアルコール度数も増やしながらも、5.5%という管理しやすく飲みやすいレベルに仕上げたのだ。醸造の歴史には、何か新しいことが起こったと感じる決定的な瞬間がある。例えば、ヨーロッパ大陸におけるピルスナーの登場ほど画期的ではなかったかもしれないが、今にして思えば、フラーズで最初に醸造されたESBは、英国の醸造、そして米国のクラフトビール醸造にも何十年にもわたって影響を与えたのである。
クラフトビール革命が進み、エクストラ・スペシャルビターのようなモルトを前面に押し出したビールの人気は衰え、ヘイジーIPAやサワービール、そして今日では再び爽快感のあるラガーに注目が戻ってきているようにみえる。しかし一方で、米国、英国、そして世界中の多くの小規模な地域の醸造所では、この非常に飲みやすく、常に興味深いスタイルのビールが生産され続けている。
フラーズのESB以外で、私のお気に入りの米国産のESBは、グリーンマン・ブルーイングのESBと、そして遠慮なく言わせてもらうと、ここバージニア・ビア・カンパニーがつくっているパーリーズESBだ。私たちはこのパーリーズESBを何年にもわたって醸造しており、世界中の競技会で複数のメダルを獲得している。このビールは、モルトの複雑さ、ホップの特徴、フルーティーなエステル香など、すべての要素を兼ね備えながら、究極の飲みやすさを維持している。現在タンクで寝かせているバッチがあり、そろそろこの私のお気に入りのビールの一つを樽に詰めるところだ。エクストラ・スペシャルビターを目にしたら、ぜひどんどん飲んでもらいたい!
(編集後記:日本でESBを定番ビールとして提供している醸造所は多くない。ぜひ試してもらいたいのは、沼津クラフトのマージーサイドESB、Tokyo Aleworksのフラゴン フィラーESB、そして愛知県岡崎市を拠点とするHyappa BrewsのIEYASU-B(家康B)だ。また、本号の佐藤栄吾氏とのインタビュー記事でも少し触れたが、志賀高原ビールもさまざまな美味しいESBをつくっている。)


