鍵谷百代は、千葉県佐倉市にあるロコビアの代表兼醸造責任者である
私の好きなビアスタイルは、ケルシュです。ケルシュの生まれ故郷であるケルンは、ライン川中流域にある古代ローマ遺跡があちこちに残っている、歴史の薫り高き街です。
ケルシュの色合いは、ストロー(麦わら色)からゴールドの範囲。冷温白濁は許されない。きめ細かな泡立ちとしっかりとしたヘッドリテンション(泡持ち)が望ましい。フルーティーなエステルはゼロからロー・レベルで、感じられる場合は、洋梨、リンゴまたはリースリング、ワインに似たキャラクターを伴う。ノーブルタイプ・ホップ由来のアロマとフレーバーはロー・レベル。ホップの苦味はミディアム。ローストモルト由来のカラメルキャラクターがはっきりと感じられてはならない。ケルシュは、幾分ドライながらもほのかな甘みを伴い、爽やかで柔らかな口当たりが特徴のビールである。豊かな泡立ちと柔らかな口当たりを強化するために、20%までなら小麦麦芽を混ぜてもよい。ケルシュは上面発酵であるが、伝統的にエールがつくられているイギリスやベルギーよりも低い温度で発酵させ、エイジングも低温でおこなう。主発酵にはエール酵母が使われるが、ボトルコンディションや最終のコールドコンディショニングの際にラガー酵母を投入することもできる。ダイアセチルがあってはならない。ボディはライトからミディアム・ライトの範囲。
ケルンには2004年に行きました。ドイツで結婚式を挙げる予定でしたが、入籍後の結婚式はドイツでは出来ないそうで(厳しい)、先にスペインで式を挙げてドイツは新婚旅行的な感じで行きました(スペインのビールも色々あり面白かったです)。そのとき以来行けていませんが、次に行く時は、ドイツ&スペインでオリーブの木を植樹してきたので、オリーブの確認も含め、ビールの旅に行きたいと思っています。
もちろん、ケルンにいたときはたくさんのケルシュを飲みました。苦い~甘い、ホッピーなど、同じケルシュとはいえ非常に幅があり、まったく違うビールのように思いました。その中でも強く印象に残っているのが、Frühのケルシュです。透明に近いといっても過言ではないほど淡色で、とても綺麗な色合いときめ細かな泡立ち、そして水のようにゴクゴク飲めるドライな味わいにもかかわらず、ほのかな甘みと爽やかで柔らかな口当たり。本当に素晴らしいビール!!と感動したのを覚えています。周りを見ても、シュタンゲと呼ばれる200ミリリットルサイズのグラスがあっという間に飲み干されていました。また、クランツという円形のお盆でひっきりなしに運ばれていて、おかわりを待たせない感じがとても印象的でした。次に印象に残っているのが、Gaffelのケルシュです。これもケルシュ!?と驚くほど苦味が利いていて、ボディもしっかりしていて本当に驚きでした!!
国内のブルワリーでお気に入りのケルシュは、田沢湖ビール(秋田県)と大沼ビール(北海道)のケルシュです。田沢湖のケルシュは、ボディがしっかりしていて、色も薄くはなく、苦味もミディアム程度に感じられるケルシュでした。大沼のケルシュは、色は薄めで、苦味も弱めのスッキリした綺麗なビールです。大沼ビールさんとは、ケルシュ部門で国内外のビールコンペティションでよく同時にメダルを受賞しました。ともに、お手本となるようなケルシュだったことを記憶しています。
ロコビアでも2000年から今に至るまで、フラッグシップとしてケルシュスタイルのビール「佐倉香りの生」をつくり続けていますが、本場ケルンで飲んださまざまなケルシュには、自分のケルシュと似たものがひとつもなく、とても嬉しく感じたのを覚えています。とくに自分がつくるケルシュは、香りが最大の特徴になっている!!と確信できました。
また、一年に一度、収穫したての国産IBUKIホップのみを贅沢に使用したヴィース(無ろ過ケルシュ)「息吹の生」も2017年からつくり続けています。佐倉香りの生と麦汁はまったく同じにつくりますが、異なるホップを使用した、ろ過をするケルシュタイプと、IBUKIのホップ感を強調するために、あえてろ過をしないこのヴィースは、まったく別の味わいに仕上がります。自分自身、出来上がったときの味わいの違いに驚いたことを今でも鮮明に覚えています。
現地ケルンでも感じましたが、ケルシュといってもかなりの幅があり、少し原料の配合が違うだけで劇的に味わいが変わるので、ますますケルシュの魅力にはまっています。ビールが苦手だった自分が、ビールを好きになるきっかけとなったのがケルシュでした。今は、幅広いビアスタイルを多くのビールファンに飲んでもらいたくて、これからもケルシュスタイルをはじめ、たくさんのビールづくりに挑戦していきたいと思っています!!


