本誌60号での京都醸造のジェームズ・フォックスへのインタビューでは、アルファ・ラバルの遠心分離機についても話題が上がった。遠心分離機とは、酵母やホップ、タンパク質などの固形物を遠心力でビールの液体部分から分離する機械で、主に発酵タンクからコンディショニングタンクへ移す際に使用される。近年、クラフトビールブルワリーでの導入が増えているが、価格は決して安くない。はたして、それだけの価値があるのだろうか?
カリフォルニア州バークレーに拠点を置くフィールドワーク・ブリューイングの生産チームは、需要の増加や生産量に問題を抱える醸造所にとって、導入は「当然の選択」だと語る。フィールドワークは数年前、サンフランシスコのベイエリアで最も成長の早い企業の一つに選ばれた(日本ではナガノトレーディングが同社のビールを輸入)。テック系のスタートアップがひしめくこの地域で、全業種対象のランキングでトップ10入りを果たしたのは驚くべきことである。急成長により、スタッフへの負担は大きかったものの、非常に効率的な醸造体制を整えることで乗り切った。
遠心分離機のメリットの一つは、発酵タンクの使用サイクルを短縮できる点にある。従来の手法では、重力による沈降に時間がかかるうえ、効率の低いフィルターを使用する必要がある。さらに、フィルターには限界があり、遠心分離機の導入によりビールの生産量の向上も期待できる。品質面でも優位性がある。アルファ・ラバルによれば、一般的な濾過や清澄化では揮発性化合物が損失し香りが落ちるが、遠心分離機を使えばそれを抑えられる。また、密閉構造により、酸素の侵入を防ぎ、酸化による風味劣化を防止できる。酸化はビールの賞味期限に影響を与え、ペールエールを段ボールや古いクラッカーのような味に変えてしまう。そんなビールを飲みたい人はいない。
デメリットはどうか。価格は高額だが、生産量の向上や時間の節約を考えれば、投資回収は十分可能といえる。日本の醸造所にとっては、設置スペースの確保が課題となる。しかし、アルファ・ラバルはクラフトブルワリー向けの小型モデルを開発した。もはや、大規模ブルワリーだけの憧れの機器ではなくなった。
詳細はwww.alfalaval.jpをご覧ください。


